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「忙しさ」の奥にある、保育現場特有の特有の採用課題
「保育業界は忙しいから、採用が難しい」
そう語られる場面を、私たちは何度も目にしてきました。
たしかに、保育の現場はとても忙しい。
ただ、ブランディングの視点で見てみると、
採用が難しくなる背景には、もう一段深い構造があるように感じます。
それは、
忙しさそのものというよりも、
忙しさの中で“価値を整理する余白が失われてしまうこと”です。
現場で生まれている価値が、言葉になる前に流れていく
保育は、現場でこそ力を発揮する仕事です。
- 子どもへのまなざし
- 瞬間的な判断
- 言葉にならない配慮
- チーム内の阿吽の呼吸
これらはどれも、
日々積み重ねられている確かな価値ですが、
同時に「当たり前」になりやすい側面も持っています。
その結果として、
- 園の強みが、うまく言葉にならない
- 採用ページでは、似た表現が並んでしまう
- 「他園との違い」を説明しづらい
といった状態が生まれやすくなります。これは、何かが足りないからではなく、
現場仕事が丁寧であるがゆえに起きやすいことだと考えています。
採用の場では「言葉になっているか」が大きな差になる
採用を検討している人たちは、
決して条件面だけを見ているわけではありません。
- この園は、どんな価値を大切にしているのか
- 自分は、どんな保育を実践できそうか
- ここで働く意味を、イメージできるか
こうした問いに対して、
現場の実感や具体的なエピソードが
言葉として示されているかどうかが、大きな判断材料になります。
どれほど良い保育が行われていても、
言葉になっていなければ、なかなか伝わりません。
何かを「足す」よりも、まず「すでにあるもの」を見つめ直す
採用やブランディングに課題を感じたとき、
新しい施策を検討したくなるのは自然なことです。
ただ、多くの園を見てきて感じるのは、
本当に必要なのは
新しい魅力をつくることではなく、
すでに現場で起きている価値を丁寧にすくい上げること
だという点です。
- どんな瞬間に理念が表れているのか
- 保護者は、何に安心や信頼を感じているのか
- 職員自身は、どんな行動を積み重ねてきたのか
それらを第三者の視点で整理し、言葉にしていくことで、
採用にも使える「実感のこもった言葉」が生まれていきます。
▶︎ 現場の価値を丁寧に言語化し、
採用や組織に変化が生まれた、保育法人の事例はこちら
【執筆】大野 陣(Jin Ono)
2011年 世界最大手 製薬会社ノバルティスファーマに入社。8年半、営業としての業務に従事し国内最短キャリアにて昇格を達成。
2019年独立。現在は主にブランディングと呼ばれる業界で活躍。ブランディング事業だけでなくパリコレモデルのキャスティングやランウェイの企画も手がけるなど幅広い活躍を見せるが、メインのコンセプトは「誰も喜ばない常識にヒビを入れる」である。
パリコレの企画などでは着物のモデルとして車椅子の女性を起用し「ラウンウェイを歩むのに足は必要無い」という企画で、周囲の大きな注目をさらった。音楽関係でもそのユニークなコンセプトは踏襲されており、福岡県にて新設される公立中学校の校歌制作を手がける。「校歌の概念にヒビを入れたい」として、役場との折衝を続けている。
crack株式会社の代表としては、国内初の「企業の誇りをARTで象徴化する」Symboling(シンボリング)と呼ばれる事業を推進。世界中の芸術家約200名と連携しつつ、企業の誇りを大型のART作品に塗り増している。