blog
デプスインタビューとは?採用ブランディングで重視される理由を独自目線で解説
デプスインタビューとは
デプスインタビュー(Depth Interview)とは、
対象者一人ひとりと深く対話しながら、
- 行動の背景
- 判断の理由
- 感情や価値観
- 言葉になっていない思考
を丁寧に掘り下げていく、定性調査手法の一つです。アンケートのように回答を集計するのではなく、
「なぜそう感じたのか」「そのとき何を大切にしていたのか」を
対話を通して明らかにしていきます。
なぜ採用ブランディングでデプスインタビューが使われるのか?
採用ブランディングでは、
次のような悩みがよく起こります。
- 自社の強みがうまく言葉にできない
- 採用サイトの表現が他社と似てしまう
- 理念はあるが、具体性に欠ける
こうした課題の多くは、
表層的な情報ばかりで自社を語るために、起こります。
デプスインタビューは、
数字や選択式の回答では見えない、
- その会社らしい判断の癖
- 現場で大切にされている価値
- 外部から評価されている理由
といった“深い情報”を引き出すために用いられます。
アンケート調査との違い
| アンケート | デプスインタビュー |
| 回答数が多い | 回答の深さがある |
| 数値で把握できる | 背景・文脈が分かる |
| 傾向把握に向く | 価値発掘に向く |
| 比較しやすい | その組織固有の強みが出る |
採用ブランディングでは、
「何%が満足しているか」を把握するのはもちろん重要ですが、
あわせて「なぜ評価されているのか」を知るのが重要になります。
そのため、デプスインタビューが有効な手法として選ばれています。
デプスインタビューで明らかになるもの
適切に設計されたデプスインタビューでは、
次のような情報が浮かび上がります。
- 自社では当たり前だと思っていた行動が、外部から高く評価されていた
- 理念として語ってきた言葉が、具体的な行動としてどう表れていたか
- 組織の文化や空気感が、どのように信頼につながっているか
これらは、
社内だけで議論していても見えにくい情報です。
デプスインタビューには高い専門性が必要
デプスインタビューは、
「話を聞けばよい」というものではありません。
実際には、
- 誰に、どの順番で、何を聞くかという設計力
- 表面的な言葉の奥にある意味を読み取る解釈力
- 個別の語りを組織の価値としてまとめる構造化力
- 理念や文脈と結びつけて言語化するブランディング視点
といった、複合的な専門性が求められます。この設計や解釈を誤ると、
印象的なコメントは集まっても、
採用やブランディングに使える形にはなりません。
採用ブランディングにおけるデプスインタビューの役割
採用ブランディングにおいて、
デプスインタビューは次の役割を担います。
- 自社の価値を、事実とエピソードで裏付ける
- 採用メッセージに「実感のある言葉」を与える
- 社員自身が自社の価値を再認識するきっかけをつくる
結果として、
求職者にとって
「働く姿が具体的に想像できる会社」
として伝わりやすくなります。
実際にデプスインタビューを活用した成功事例
沖縄で複数の保育園を運営する社会福祉法人では、
保護者や関係者へのデプスインタビューを通じて、
- 自分たちが社会にどのような価値を発揮してきたのか
- 理念がどのように日常の保育に表れていたのか
を丁寧に掘り下げ、言語化しました。
単なる感想収集ではなく、
ブランディングの視点で分析・構造化したことで、
組織の納得感や採用への活用につながっています。
▶︎ デプスインタビューを用いた実際のブランディング事例はこちら
【執筆】片平 優(Yu Katahira)/ブランドプロデューサー
保育士資格を有し、命の尊厳・個性・発達への理解を基盤に、個人と企業の肯定感を高める“賞賛ファースト”を提唱。
600件超のデプスインタビューを通じ、無意識領域に語りかけながら、社員の感情と行動が変化する瞬間を可視化してきた。広告業界で培った構成力と現場の人間理解を掛け合わせ、「誇りが循環する組織」をデザインする。
その真摯な探求の姿を見た仲間からは、“Mad Mother(狂乱の助産師)”と呼ばれている。