blog
共創型ブランディングとは?提案型ブランディングとの違いから考える、採用に効くブランディングの本質
はじめに|「ブランディング会社に頼めば、答えが出てくる」と思っていませんか?
ブランディングを検討するとき、多くの企業がこう考えます。
- プロに頼めば、いいコンセプトを提案してくれる
- かっこいい言葉やビジュアルを作ってくれる
- それを社内外に発信すれば、会社は変わる
この考え方自体は、間違いではありません。
実際、提案型ブランディングは、長年多くの企業で採用されてきました。
しかし近年、
- 採用につながらない
- 社内に浸透しない
- 作っただけで終わる
といった課題が、顕在化しています。そこで注目されているのが、
共創型ブランディングというアプローチです。
提案型ブランディングとは何か?
提案型ブランディングとは、
- 外部の専門家が
- 調査・分析を行い
- コンセプト・コピー・デザインを
- 「完成形」として提示する
ブランディング手法です。
提案型ブランディングの特徴
- プロの視点による完成度の高いアウトプット
- 意思決定が早い
- 短期間で形になる
企業側は、
「良い提案を採用するかどうか」を判断する立場になります。
この手法は、
- ブランド刷新
- ロゴリニューアル
- キャンペーン設計
などでは、非常に有効です。
しかし、提案型ブランディングが採用で機能しにくい理由
採用ブランディングにおいて、
提案型ブランディングがうまく機能しないケースがあります。
理由はシンプルです。
社員が“つくっていないもの”は、語れないから。
どれだけ正しく、どれだけ美しい言葉でも、
- 自分が関わっていない
- どこか他人の言葉に感じる
そうなると、
- 社内に浸透しない
- 日常の会話に出てこない
- 面接で使われない
結果として、
採用ブランディングの力が弱くなります。
共創型ブランディングとは何か?
共創型ブランディングとは、
- 企業の中にある価値や想いを
- 外部の専門家が“引き出し”
- 社員と一緒に言葉や象徴をつくっていく
ブランディング手法です。
重要なのは、
答えを「与える」のではなく、「一緒につくる」こと。
専門家の役割は、
- 正解を提示する人
ではなく - 問いを設計し、場をつくる人
になります。
共創型ブランディングの特徴
共創型ブランディングには、次のような特徴があります。
- 社員がプロセスに参加する
- 第三者視点(顧客・協力会社)を取り入れる
- 対話を通して価値を言語化する
- 理念や歴史を「体感」できる形にする
アウトプット以上に、
プロセスそのものが価値になります。
【比較】共創型ブランディングと提案型ブランディングの違い
ここで、両者を整理して比較してみましょう。
提案型ブランディング
- 外部が答えをつくる
- 完成形を受け取る
- 社内は「理解する側」
- 浸透は努力次第
共創型ブランディング
- 内と外で答えをつくる
- プロセスに社員が関与
- 社内が「当事者」になる
- 自然に語られ、使われる
どちらが優れている、という話ではありません。
目的が違うのです。
採用ブランディングに向いているのはどちらか?
採用ブランディングの目的は、
「この会社で働きたい」と思う人を増やすこと
そのために必要なのは、
- 社員が誇りを持って語れること
- 会社の価値が言葉と空気で伝わること
この観点では、
共創型ブランディングの相性が非常に高いと言えます。
なぜなら、
- 社員自身が言語化に関わっている
- 自分の言葉として話せる
- 面接や日常会話に自然に出てくる
からです。
共創型ブランディングで実際に起きた変化
今回の事例では、
共創型ブランディングを通して、
- 社員の発言量が増えた
- 表情が前向きになった
- 理念が判断軸として使われ始めた
- 「自分たちの会社」を語る言葉が生まれた
といった変化が起きました。これは、
「良い提案を受け取ったから」ではなく、
「一緒につくったから」起きた変化です。
共創型ブランディングは「時間がかかる」?
よくある懸念として、
- 時間がかかりそう
- まとまらなそう
という声があります。
確かに、
提案型に比べると即効性はありません。
しかし、
- 浸透施策を後から何度もやる
- 社内説明に時間をかけ続ける
ことを考えると、
結果的に近道になるケースも多いのです。
まとめ|どちらを選ぶかではなく「何を変えたいか」
提案型ブランディングと共創型ブランディングは、
対立するものではありません。
重要なのは、
- 見た目を変えたいのか
- 組織の内側を変えたいのか
- 採用や文化まで変えたいのか
何を目的とするか、です。
もし、
- 採用がうまくいかない
- 社員が会社を誇れていない
- 理念が形骸化している
そんな課題を感じているなら、
共創型ブランディングは有力な選択肢になります。
実際に共創型ブランディングを取り入れた成功事例
共創型ブランディングを通して、
- 社員の誇りを育て
- 理念を体感できる形にし
- 採用や組織の空気を変えていった
企業の実例があります。そのプロセスと変化を、
以下の事例で詳しくご紹介しています。
▶︎ 実際にこの手法を取り入れた成功事例はこちら
【執筆】片平 優(Yu Katahira)/ブランドプロデューサー
広告制作会社ライトパブリシティで10年間、キリンビール、ロレアル、三菱マテリアルなどの広告を担当。
独立後は製造、教育、福祉、行政、医療、建築、ファッションなど約80社のブランド支援に携わる。
保育士資格を持ち、人間の命の尊厳・個性・発達への理解を基盤に、crackでは「自社を自慢できない社員をゼロにするための魅力発掘プロジェクト」調査責任者を務める。
経験と感性を融合させ、組織と人の誇りを再構築するブランディングを実践している。